memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

現場と研究の良い接点

2日目で興味深かった発表はNTTデータフィットの向後さんのご発表。正式なタイトルは以下です。


向後貴史, 辻中啓:"ガントチャートの改良",プロジェクトマネジメント学会2009年度春季研究発表大会予稿集,pp.356-358,2009


MS-Projectは素晴らしいツールですが、実績線の考え方がちょっと現実離れしているように感じます。


予定に対する消化率を見るのであればこれでいいと思いますが、実際には予定通りには着手できない場合があるし、遅れる場合もあります。要は、この表現では、タスクの消化率はわかるけど、作業者の動きが見えません。


その他にも論文中ではイナズマ線の問題も挙げられていました。提案手法は以下のような図であらわされるようです。以下の図は私が論文中の図を勝手に簡略化したものです。本当に使われている表をご覧になりたい方は著者にお尋ねになるか、予稿集を入手してください。


各タスクは予定と実績の2段表記になるようです。で、ミソは各週に達成するべき予定のパーセンテージを予定線(枠?)内に数値として記入したところです。この数値を見ると進捗状況を週毎に数値で把握することができます。なるほどなーと思いました。実際の大規模案件のプロジェクトマネジメントで活用されているとのことです。


同時実行タスクが数百となると数字での判断は難しいと思いますので、もうひと工夫できそうですね。ある閾値より超えるとセル色を黄色あるいは赤色にするとか。あと、タスク間の階層構造とか(←これについては今後の予定で話されていました)、あと作業者の情報(ボトルネックの要因)、先行関係、遅れや予算のシミュレーションなど。。。今後が楽しみです。


で。ここで言いたかったのは、実は、こういう企業あるいはグループ毎の工夫はどんな企業でも実践されているはずなんですね。いくつかの職場でいろいろな形態の進捗表を見たことがあります。そうした工夫は企業の中で活用されるだけで、実は、もったいないんですね。。。こういう工夫を見ることができる、あるいは発表する場があるというのは本当に素晴らしいことだ、と思いました。学会がこういった現場あるいは現実を改善する手法や表記方法を発表しあう場になれば、学会の社会貢献度も上がるでしょうし、産学官が本当の意味でうまく回り出すきっかけになると思います。