memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

Excelで累積値を求める方法(意外と知らない人いるんじゃないかな・・・ということで書いてみた)

背景

大学の近くにある看護大学校で看護研究の授業を担当させていただいています.2013年からですからもう10年になるんですね...

私は情報系なので医療機関で看護研究の経験はありません.研究者ということで担当させていただいている感じです.

授業を担当するにあたって書店の看護研究コーナーに行って5,6冊本を買ってきてまとめて資料を作りました.主に使っているのが以下の本です.本格的に看護研究するには...恐らく力不足と思われますが,看護師の卵の方が初めて学ぶにはよい本と感じます.薄いけど全般的によくまとめられた本と思います.

2年くらい前に第3版が出版されました.内容を比較してみましたがほとんど変わっていなくてExcelのバージョンが新しくなったのでそれに対応させたという感じの内容でした.名字が同じなのでお子さんかなぁ?どうでもいい話ですが.なかなかいい(美味しい)引き継ぎだなと陰ながら思っていました.

さて,本題.

この担当授業の初回にデータの種類(名義データとか)を演習したあとに度数分布表が出てきます.これがなかなかExcelの練習にちょうどいいんですね.看護大学校の3年生ですが,コンピュータ演習は主ではないので苦手な学生さんもいます.データ入力してグラフを作るくらいならまだしも,統計機能を使うとなると計算式とか相対参照とかを理解していないと難しく感じます.

その問題をちょっと書いてみます.

Excelを学習中の方にはいい練習問題かと思いますのでぜひやってみてください.

Excelで度数分布表を作成してみる

上記の書籍のデータを使わせていただきますね.もし,いいなと思ったら買ってみてください.よい本です.アフィリエイトはしてませんので僕得ではありませんが.

まず,以下の表を入力します.懐かしいですね?中学くらいでやりましたよね?で,着色セルに数式を入力していくわけです.

問1 相対度数(C列)に数式を入力してください.

  • 相対度数はそれぞれの度数を度数の合計で割って求めます.答えは少し離れた下の方に書きますね.

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解答

  • C2の例を示しています.

  • 値は「1/50」ですが,入力する計算式は「B2/B8」になります.マウスをカチカチしてセル番号を選択します.割り算は計算機では「/」の記号を使うんだよ...という感じで思い出してもらいます.
  • さらに,この数式「B2/B8」をC3以下にコピーすると...あれれ...という感じですね.値がおかしいことに気づいてもらってB8を動かさないようにするためドルマークをつけるんだよね?(←既に1・2年で習っているので思い出す子も多い)と.
  • で,答えは「=B2/B$8」になります.どうして?という方は絶対参照・相対参照というキーワードでもっとわかりやすく解説しているページがたくさんありますのでそちらを参照してください.

問2 累積度数(D列)に数式を入力してください.

  • 累積度数はその名の通りで,度数が上から順に累積していく感じですね.D2は1,D3は1+6,D4は1+6+12という感じです.

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解答

  • D2は累積するものがないのでB2の値をそのままコピーします.なので数式としては「=B2」となります.

  • で,以下が実はこのエントリーを書きたいなと思ったポイントでした.SUMやAVERAGEとかワークシート関数で求める問題は,関数を知っていればわかるのですが,累積値は計算の仕方を少し工夫する必要があります.答えは以下です「=B3+D2」.

  • 教科書に書かれている数式の通りに考えると,入力する数式は「=B2+B3」としがちなんですね...でも,そうなるとD4の数式は「=B2+B3+B4」となり...数式を1セルずつ入力しなければならない(コピペできない)ので困るんですね.データ個数が少なければいいのですがたくさんあったら嫌になりますよね?

  • D3の数式を下にコピーすると,ちゃんと累積度数が計算できていることがわかります.めっちゃ便利!

実は,これってExcel表計算ソフトと呼ばれるゆえんでもあるんですね.セルに計算結果を書いておいて,さらにその結果を利用して別の計算をする.統計によく出てくる複雑に見える式の多くは線形結合(項をひたすら足し算している)ですが,それらは要素を計算して,最後にSUMすれば簡単に求められます.この辺の感覚がわかると統計ってExcelと仲良しだな...と思えてくるんですね.

あと,累積相対度数もありますが,これはいいですね...度数ではなく相対度数に対して,上記と同じ要領で累積値を求める方法を使えばいいわけです.一応,答えは以下に載せておきます.

というわけで,累積値を求めるときの計算式の書き方でした.

今週も来週〆切の原稿があるので休日出勤なのですが,ちょっと気分転換に書きました.さて16時までに終えて帰るぞ〜.

でわ!

2023/2/4 追記

  • このエントリーを書こうと思ったのは,実は,研究で以下のデータを整理していたときに思い出したんですね.ちょっと一部示します.

  • これは学生さんがプログラミングしていて発生したエラーメッセージのクラス全体の割合(B列)を示しているんですね.どういうエラーで(A列)つまずいたのかを分析するためです.
  • で,この「2022累積」(C列)というところをみていただくと,エラーのうち上位7件のエラーが全体の9割のエラーになる,ということがわかるわけですね.
  • ビジネスでも様々な問題があってそれぞれ手を打っていくというシーンはたくさんあると思います.全部やるのは無理なので優先順位をつけるのは常套手段ですよね?
  • 優先順位をつけて対応したときに,全体のどれくらいの割合を対応したことになるか気になるじゃないですか?それを累積値を示すことによって網羅率が見えてくるんですよね?
  • という感じに使えると思います.数学は役に立たないということはないですよね?はい.