memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

ある企業の方がみる面接のポイント

今春にうちのゼミを卒業して就職した会社の人事担当の方が研究室を訪問してくれまして、卒業生の会社内での近況を報告してくれました。

そのときに面接のポイントを教えて頂きました。

ポイントは2つ。

1つはコミュニケーション力。

大人である面接官と時間と場所を共有して会話ができるか。会話が成り立つか。しゃべれればいいというものではないと思います。相手が期待している(正解があるわけではありません、勘違いしないように)答え、つまるところ相手が聞きたいと思ったことに対して答えを聞いて満足するか、さらに質問したくなるか、という視点だと思います。こう書いても経験がない学生さんにはわからないかもしれませんね。。。後で補足を書きます。

2つ目は(明確な言葉にはされませんでしたが、私が勝手に意訳すると)夢、あるいは発想、あるいは意思。

具体的に書きますと「私は会社に入ったら(もっと広い意味で社会人になったら)こういうことがしたい!」ということが聞きたいのだそうです。それは個人によっては夢でしょうし、アイデアかもしれません、もっというと産まれてきた意義と思っている人もいるのではないかと思います。その夢を実現するために会社の資源を利用する、その夢を実現するための舞台としてその会社が必要なんだ、ということを主張して欲しいということのようです。

もの凄く良くわかります。

ただ、このことを聞いて別なことがよくわかりました。それについて以降に書いてみたいと思います。

私自身もIT系企業で働き転職して今に至ります。授業を担当した当時を思い起こすと、ソフトウェア系の授業であればできるだけ現場の雰囲気を感じてもらいたいと思い、そうした例題/課題/練習方法などを取り入れました。しかし。。。すぐにそういう視点には問題があることに気づきました。

どういう問題か?

(その当時の)私から見た学生はこういうものだという思い込みと社会を経験していない学生さん達の意識の違いに関する問題です。

昔もそうでしたが今はさらに早い時期から理系/文系を選択します。大学選択も全入の時代になったとはいえ定員がありますから入りたい大学より入れる大学を選択します。今は入試形態も多様化していますので自分の苦手科目を受験科目としていない大学や学科を選択している人もいます。昔もそうでしたが「やりたい職種」というよりは「入れる進学先」をある程度絞り込んでから複数受験して合格したところで進路を決定します。ごくごく普通のことだと思います。高校生にとって。そして高校生を迎え入れる大学関係者の一人としてもです。

で、何が言いたかったか?

企業人はこういうこと、昔、何も知らない高校生だった頃のことを忘れている、ということです。上記の通り、私も大学院を終えて10年間社会人をやり、それなりにどっぷりある分野の会社人としての頭に切り替わりました。自分が学生だったころはすっかり忘れていました。だから大学に赴任したときに上記のような授業を展開したのです。

つまり、どういうことか?

つまり、人事採用の方もたくさんの学生と出会い話し合っているのですが、期待値はやはり学生としての学生ではなく「社会人」であり、社会人としての素養をもった人かどうかを見定めるていらっしゃるのではないか、ということです。

「社会人としての素養をもった人かどうか」ってどういうことか?

その方も仰っていましたが、(理由はどうあれ)「何かしらの思いがあって大学/学科を選択しているはずで、入学前あら何かしたいことがあって入学を決意したはずで、その大学/学科で専門を学んで入学前の夢や思いや想像はどう変わったのか、そして卒業しようという今、今後の人生を想像して何をしようとしているのか?」ということが主張できるはずだし、そういうことを面接などで語って欲しいという期待をもって見定めているのではないかと思うのです。かなり私の意訳が入っていますがそのようなこと「視点」で学生さんを見ていらっしゃるのでは?と感じました。

学生さん達の視点と企業の方から見た視点にズレがあることがわかるでしょうか?

「何かわからないけど興味があって大学を選択し、大学で講義や演習を習ったけど半分くらいは身に付いているかな。。。という感じで、それをどう活かせばいいかは企業に行ってから教えてもらおっとー」という学生さんの視点と(そうじゃない!という人がいればごめんなさい)「興味があって入ったんだろうから十二分に身に付いているだろうし、もちろん全部を理解はしていないだろうけど、興味がある特定の分野については自分で掘り起こしていろいろ自ら学んでいるだろう」という企業側の視点。

企業の方、特に人事採用の方はたくさんの学生を見てきていらっしゃるでしょうから現実は理解していると思いますが、期待値としては、こうあって欲しいというイメージとしては、上記のようなことがあるようなのです。

私も今日、そのお話を聞くまで、赴任当時のことを忘れていました。。。

長くなりましたね。。。久しぶりに。

では、どうすればいいんかいな?という声が聞こえてきます。

私が思うに、一朝一夕には難しいと思っています。難しいですね。。。なぜ難しいか?知識や技術だけでは済まされないところにポイントがあるような気がしているからです。

例として適切かわかりませんが、例えば、プログラミングでJavaを勉強したとしましょう。大学で出された課題に対して誠実に取り組んで課題を遅れずに出したとします。難しい課題もたくさんあったでしょうけど何とかやり遂げました。としましょう。これをそのまま面接で話してどうなるか?今日のお話を聞くまでは、学生は学生らしくきちんとやったことを伝えればいいと思ってきました。できれば自分の好きなテーマで突っ込んだ話しができればなおベターだ、というくらいに思っていました。

でも、これだけでは難しいような気がしています。何が足りないか?

ここからは私のあくまで個人的な想像ですが、企業人としての感覚、だと思います。こんなもの学生さんになくて当然なのですが。。。もちろんそんなことは企業の方もよくわかっているのですが。。。それでも少しでもいいから将来同じ会社の同僚(先輩/後輩)になったときに企業人同士としての話しができるか?そういう感覚があるか?

例えば、Javaはどういう起源で産まれたのか?Javaはそれまでの技術と比べてどういう利点があったのか?その技術は周辺の技術と比べてどうなのか?それは社会やビジネスにとってどいういう影響があるのか?今後、どういう進展が期待されているのか?ということを知っていて語れるか?その感覚がその企業で働く人と同じか?あるいは「それって面白いね」と「ここってさらにこうしたらいいんじゃないかな?」とか面接で話し合えるとか、ということではないかと思います。「君、学生なのによくわかっているじゃない〜僕もそこをやりたいと思っていたんだよ」という感じに話しが合えば言うことなしだと思います。そういうコミュニケーションを企業の方は望んでいるのだと思います。

これができるためには、限られた授業を受け身で聞いてるだけでは身に付きません。アンテナを高くして自分の関心ある分野や業種や技術やテーマについてずーっと追っかけている、そういう習慣ができている必要があります。これをするには少なくとも年単位でネットなどで業界の動向を追っていないとできないでしょう。

ゆえに一朝一夕には難しいと思ったわけです。

企業人はそれを少しでもいいから学生さんの口からそういった話しを聞きたい、もちろん学生さんらしく実現は難しいかもしれないけどユニークなアイデアも会社の可能性を広げてくれる人材像としてはマッチしていると思います。いずれにせよ、学生さんの中にある社会人のとしての可能性を見たいのだと。このことはIT系でなくても他の業界でも言えることはのではないかと思います。

最後に。

じゃ、コミュニケーションもアイデアもない人はどうすればいいか。自分自身で自分を見つめて分析しても社会人の想像とはズレがあります。語彙が違いすぎます。

とりあえず思いつくのは周りにいる社会人に聞いてみることです。自分はこう主張したいのだけど、社会人の価値観としてどうだろうか?認められることだろうか?面白い(社会還元、社会貢献、お金になる)と思ってくれるだろうか?そのためには伝え方を視点をどう変えればいいだろうか?相談してみてください。社会人としての語彙で説明してくれるはずです。

ここまで一気に書きました。大学に赴任してあと数年で10年になろうとしてます。既に社会とのずれも出てきているかもしれません。思い違い、勘違いもあるかもしれませんが、今日、感じたことを書きました。もし何かのご参考になればと思います。