先週、県立図書館でお借りしてきた本です。電車等で読んでました。このくらいの薄さが飽きっぽい僕にはちょうどよいです。
自己家畜化というキーワードを知りました。そして、先日読んでた同著者による「推し」の本と同様に、現在進行形で進む世界にいる我々自身が世の中を理解する助けとなる本の1つと思います。こういう人や社会を理解する理論は理工系の学問では出てきませんのでとても勉強になります。考え方を学ぶというか哲学的でもあります。
この本の主張を3行に要約すると以下なんだそうです。あとがきに著者自ら書いていました。引用します。
人間は文化によって進歩し、豊かな暮らしを実現させたが、ゆっくり進化してきた生物学的な自己家畜化をはるかに上回る文化のスポートに引きずられようとしているーーーそれはどこまで恩恵で、どこから疎外か?
家畜といえば人間にとって様々な目的のために人間によって飼いならされた動物をイメージします。その飼いならす行為を自分自身を対象に家畜化するという何とも入れ子てきなイメージが湧いてくるキーワードになります。
あまり覚えてはいないのですが、読後の印象として残っているのは、我々自身が生活するこの社会を成り立たせている価値観や習慣は誰かによって作られたというか結局は自分自身で求めるかどうかは別として作り上げてきたものになります。
その見えない価値観や規律に合わせる形で我々は生活をしています。白線の上を面白がって歩く子供のように白線をはみ出ないように頑張って生きている、我々ってそういう側面を持っているな〜と思うわけです。こういう見えない価値観や規律に合わせることの難しさ、それが生きづらさを生み出します。
確かにそうだよな。。。と。
自由に生きたいと思ったところで、安全に安心して生活したい気持ちはあります。清潔でいたいという気持ちも必ずあります。誰に言われるまでもなく自分が不快に感じるので毎日、シャワーに入ります。
先日、コロナになっちゃいましたが、家族に迷惑をかけないように一生懸命過ごしました。結局、嫁さんに移してしまいましたが。。。結局、症状的には大したことはなかったのですが、とても窮屈な生活をしました。そんな生活はできるだけ避けたいのです。自分のために。家族のために(←これも結局は自分のためなんでしょう)。
コスパ・タイパを究極的に追い求めるところも確かにあります。面倒なことは限りなく駆逐したい。見えないゴールに向かって走ることは難しいです。学生じゃなくたって自分もそうです。ゴールが見えるからこそ頑張れるわけで。評価されないことは、特にやりたくない仕事についてはやりたくもありません。
ちょっと前(昭和?)までは、粗野で粗暴で不潔な時代もあったけど、今はもっと洗練されて優しくなって暴力も減ってプライバシーも守られる、そんなクリーンを求める時代なったということです。マスクもそう消毒もそう入浴もそう。今後、益々この傾向が強まるでしょう、という著者の見方です。性交も汚いものとして忌み嫌われる時代がすぐそこにきそう。子孫を残すのは個人に委ねるのは終焉し、マトリクスのように(養分の元になるかは別として)人工授精を基本として、子育ても社会がコントロールするようになるだろう。。。という話もありました。そうなるそうな面ってありそうですよね。僕もよく想像しちゃいます。
何か脱線しちゃいましたが。。。読んでない方にはイミフですね。。。すいません。とりあえず読後の頭にあることを吐き出している感じです。
この本の最終章がとても印象的です。ディストピアな未来予測が2パターン挙げられていました。僕もそのような想像をしたことがあります。少子化が止まらない。
(偉そうにいいます、すいませんが)うちは3人の子供を授かりました。2人から3人を生み出したので次世代に人口的にはプラスの影響を与えた、と言えるでしょう。わずかではありますが。。。家計は正直厳しいです。シングルインカムですから、年齢的にも収入的にも家を持つことはもう無理でしょう。でも、未来を作りました。そんなことより、僕ら夫婦は形ある何か以上の思い出を子供達からもらうことができました。何も後悔はありません。望んでも授からない人もたくさんいると思います。もちろん望まない人もいるのでしょう。自由です。
自己家畜化というキーワード、現代の我々自身を読み解くキーワードの1つだなと思います。だから何ができるか。。。ということはありませんが、でも、そういう見えない空気を意識しながら、うまい具合に人に優しいモノづくりとか活動とかできたらいいな。。。と思いました。
おしまい。
ちょっと追記。この本で教えてもらったのが以下のメッセージ。
SF作家の樋口恭介さんは「未来は予測するものではなく創造するものである」といいました。
と書かれていたこと。これってそうだよな。。。と思うもので。評論家が結局何もしないことと同じで、未来予測はできても結局どういう未来を選択するかは現在の我々なのだと思うのです。
ぐぐると以下の書籍がそうなんだそうです。これもカリールで探すと蔵書にあるようで買わなくても済みそう。明日でも借りに行ってこようっと。