memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

たまたま見つけた知恵袋の話に思わず反応しちゃう

出囃子

ゼミのSlackでも貼ろうかと思いましたが、いくら皮肉屋の私とわかっていても、この時期だとブラックジョーク過ぎるので。。。ここに書きます。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

相談内容を転載させていただきます。

研究室の学生をやる気にさせるにはどうすればいいのでしょうか? 理系の研究をしているのですが,学生が受け身になっており,どうしても自分から学びにいくようなスタイルになりません.そのうち学校に来なくなる学生もいます.

私自身の指導方法にも問題はあると思いますが,どう直してよいのかわかりません. どなたかアドバイスをいただけないでしょうか?

回答は2件(教員と学生?)と少ないのですが、いずれも共感します。

個人的な意見

私の(些細な経験の)ふりかえり

以下、僕の個人的な意見です。

サラリーマンSEから転職して大学教員になり20年になります。

最初の頃はかなり勘違いしていて、情報系を志望する人なんだから好きでやるだろうと思いこんで多少突き放した指導してきました。

最初の2,3年は厳しかったんじゃないかな、と自分でも思います。こうあるべきという私の価値観を押し付ける一方でした。

最近は流石にそれではまずいと思うようになりまして改めるようにしています。ここ4,5年は特に変化したと思います。

ゼミ配属された学生さんが置かれた状況をそれなりに想像してみる

学生さんは4年生になるまで授業や演習で「与えられた課題」を取り組むことをトレーニングします。

PBLとかラクティブラーニングとかいいますが、結局は担当教員が科目で掲げた学習教育目標を満足するように1つ1つのゴールを与えてその通りにできるようになることを目指してもらいます。受け身になるのは当然です。

所詮、大学も「学校」ですから。「学校」というものに対するイメージは小中高でしっかり植え付けられているはずで、先生〜学生というイメージが固まっていると思います。

そういうマインドセットから4年生になってゼミ配属されてから、何かしらテーマを与えられて自分で調べて考えて進めてみなさい、と言われるわけですね。

昔から自分で試行錯誤するに慣れている学生はたぶん「もがく」ことができるのでしょうけど、そのもがき方もわからない経験がない状態の学生さんがほとんどですから、結局、何をしていいのかわかりませんし、したことによって得られることすら想像できないというのが正直なところなのではないかと思います。

最初はやる気があって、プレッシャーを感じながら作業を進めようとするけどどこから手をつけていいかわからない。やってないから報告することがない。相談しようにも何がわからないかもわからない。。。ゼミに行きたくなくなる。。。私のただの思いこみでしょうけど、そんなことなんじゃないかなと思うんです。

じゃ、どうすればいいのでしょう?(最近、心がけていること)

卒業研究では、学生さんが主体となって研究を進める必要があります。指導教員は「共同研究者」になります。学生と教員は年齢差、経験差がありますが「研究対象に共に立ち向かうチーム」なんですね。こんなことは研究が苦手な私がいうまでもなく、大学教員なら誰しもが持っている価値観だと思います。その指導の仕方は人それぞれなんでしょうけど。はい。

なので、私は最初にまずそのことを学生さんに伝えるようにしています。一緒に考えよう。必要なものがあれば揃えるし。わからないことがあれば一緒にやるし。問題がわからないなら一緒に話し合って進めよう、とです。以前にも心の中ではそう思っていたつもりですが、恐らく、全然伝わっていなかったんだと思います。

もう言い古されたことかもしれませんが、職人さんの世界でも「背中を見て育て」「技は盗め」などと言われていましたが、今は積極的に教えるでしょうし、一緒にやろうとするでしょう。成長を見守る感じかと思います。それが軟弱化したと捉えられることもあるのかもしれませんし私自身もそう感じることもありましたが、今はそう思いません。たぶん、昔は人が多くて教える時間も取れなかったしそういう風潮でもなかった。環境が違ったのでしょう。今は教える立場にいる人がちゃんと伝えていく、それが組織なんだと思います。学校だとなおさらですね。

学生さんによっては、教わるより自分でやりたいという人もいます。逆の人もいます。我々、年食っている分、経験もありますし、それぞれの人に合わせるくらいのことはできますよね。「そーきたか、じゃ、次はこれどう?」という感じのやりとりを繰り返しています。若い人と関わるときにやっぱりこれが一番面白いですね。

やっぱり横道にそれちゃいましたね。。。

結論

  • 最初に我々は学生・教員と立場は違うけど「チーム」なんだということ伝える。
  • 学生さんと話しながら一緒に研究テーマを考える。
  • 作業はあくまで学生さんが主体だがテーマに対するアプローチは一緒に考える。
  • 全体的にやることを示しつつ、次の打ち合わせまでにやれそうなことを一緒に考え示す。
  • どうしても手が進まないようであればその原因を話し合い、その問題を解消できるようにサポートする(ヒントやサンプルを示すなど)。
  • それでも手が進まないようであれば心の準備もあるかもなので絶対的な期限が来るまで待つ。そして期限が近づいたらそこからリスタートするときのTODOリストを示し、着実に進められるようにサポートする。

余談

卒業研究も面白いですが、実はあまり教員の出番はありません。コーディングなどは学生さんが主体的にやりますから詰まったら手助けする感じです。

今、面白いのは3年生の制作です。これはここでも何度も書いていますが。PBLの一種なんだと思います。

1年間で自分らで作るものを考え自分らで必要なものを揃え作り上げます。

当初は前期に教科書を輪読し、後期にチーム開発してましたが、やはり教科書を使った受け身の学習では身につきません。会社の仕事ではないですが、本当に必要な場面と材料をベースに使いこなすことによってのみ自分の技術にできると考えます。

なので、最近は前期からチームを編成し、そこで必要なことも自分たちで調べて学習してもらっています。これでうまく行っていると思います。僕が学生の頃にもこんな授業があったらよかったな。。。と思いますが。

昨年の3チームの成果物を貼っておきます。今年も面白いのができました。また近いうちに貼りますね。

www.youtube.com

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僕はゲーム開発者ではないのでゲームそのものの面白さを上げる技術は持っていません。ただ、将来的に多くの学生さんがシステム屋になるはずですから、1つのものを作り上げる経験、その経験をチームでする、そこができていれば(欲を言えば楽しんでできた経験があれば)たぶんどこへ行っても仕事を楽しめると思いますので。

でわ。