memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

投稿先の検証方法

大学教員は業績がないと認められない。会社員の場合は(自分の経験では)組織に貢献すること(直接的でも間接的でも売上に貢献すること)がその人の有用性や存在感を示すものだと思っている。教育や社会貢献ももちろん大事だが、何といっても業績である。業績とは論文誌やジャーナルへの掲載論文数である。さらに(最近は)インパクトファクターの重み係数も重視されるようになっている。より高いレベルの専門誌に何本の論文を通した実績があるかどうかがその人の価値を決定する。ちょっと言い過ぎ感はあるが、それでも職位は第一に業績(A論文数)で評価される。これはどの大学も同じだと思う。

国内の情報系での投稿先はたくさんある。大きなところでは情報処理学会、電子情報通信学会、電気学会だろう。国内で認められるにはこれらの論文誌に掲載された論文が多いこと、プラス、トップレベルの国際会議や国際誌に掲載された論文が多いこと、がある。

1本の論文を通すのに1年以上かかる(自分は国内しか経験がないので海外だと2,3年かかる場合もあるよう)。一人が活発に働けるのは25〜55(45?)くらいだろうと思う。毎年、投稿してもせいぜい30本くらいがいいところ。でも、研究は単独ですることは少ないので共同で研究するとその人数の掛け算になる。私は単独研究が多いので頑張っても30本というレールに乗っている。といっても(言い訳になるが)SE時代だった10年は論文は書いていないし研究もしていないので上限は20本というところ。もちろんこれはうまくいった場合の話である。転職してまじめに研究するようになって研究をどう進めるか走りながら考えてきた。今みたいに情報が豊富な時代ではなかったので自分で試行錯誤するしかなかった。今思えばかなり効率の悪いやり方をしてきたと思う。これからの人はそういうことはないだろうしもっともっと生産的になれると思う。AIパワーもあるし。

さて、とりあえず国際学会に投稿するようになると海外のよくわからないところから投稿しませんか?というメールが来出す。たいていは迷惑メールフォルダに入るので無視している。そういう投稿先ももしかしたら使い用があるのかもしれない。怪しいものだと知った前提で検証してみたいと思ったりもする。最近、ちょっと知った方法を1つ紹介する。

論文投稿の支援サービスで有名なエディテージさんのページである。

www.editage.jp

このページにジャーナル名を入れると、(説明は面倒なので省略するが)その雑誌の評価指標を決定する様々なインデックスに掲載された論文であるかがわかる。インデックスに入るとそれなりの雑誌であることがわかる。もっとちゃんとした調べ方があるが、とりあえずこれでどういうところに掲載されているかがわかるのである。例えば、Web of ScienceやScopusなどである。

例えば、Natureだと以下のような結果が得られる。インパクトファクタは25以上。。。考えられない数字である(インパクトファクターがなにかはぐぐってください)。

ちなみに、さきほど届いた迷惑メールは以下の結果となった。つまりどこにもインデックスされていないことになる。これほど怪しい雑誌はない。

もう少し考えてみると、エディテージではな別のジャーナルファインダーもあって、それらも試してみた。そちらに掲載されているがエディテージにはない、あるいは逆のケースもあった。でも、エディテージは日本からの利用も多いだろうし、そこで掲載されていないということは少なくとも日本の研究者が校正依頼などかけていない投稿先であるはずだから怪しいと考えるのはそう間違った考え方ではないと考える。どうだろう?論文は数である。

学生のときに恩師に聴いて「いや内容でしょう?」と中二病な反応をした(言いはしなかったが)自分が恥ずかしい。。。ある程度のレベル以上を前提とした場合はやはり数なのである。あ、こんなことを書いておいてなんだが、以前、以下を書いた。

査読してみると論文のあるべき姿が見えてくる - memorandums

そこで、以下の本に出会った(というか国際会議に出し始めたころにあわてて探し当てた)。

この本の著者は5ページ目に以下のように書いている。引用する。

「研究の自由」、「学問の自由」という言葉があります。日本国憲法第23条で保障されているこの自由とは、学問や研究のテーマややりかたは外部から介入されないということです。この研究の自由を、勝手に「研究成果を発表しない自由」と解釈している人もいます。こんな研究者は、評価が生ぬるい日本でしか生きていけないと思います。また、「研究成果は長い目で評価しなければならない」とへ理屈を言い、何年間も論文を書かない研究者もいます。このような人たちは、「甘ったれ」と呼ばれても言い訳が立ちません。また、観測や実験データのみを並べることを研究発表と勘違いしている人もいますが、それはデータ集に過ぎません。よい論文を書くには、しっかりとした目的意識をもっていなければならないことも指摘したい点です。

ズキューンと胸に突き刺さる。。。💦 僕は研究がすべてとは思ってはいない。別の観点での社会貢献があるのだと思う。。。でも、大学の教員評価はそうなってはいない。つまり、僕の価値観は大学の世界では異端だし愚かでさえある。なので、私はこの方のいう「甘ったれ」だということ。この世界で生きている以上しかたがない。今は大学教員の研究活動はresearchmapというサイトで確認できる。ご自身の関心のある先生の最近の研究を見てみよう。その先生が僕みたいな甘ったれかそうでないかは「数」でわかる。

researchmap.jp

どこかで聞いた 好きなことより得意なこと(人より秀でているところ)を仕事にしなさい をいまさら実感している。