大昔、研究費でOculusが出始めたときにDK1、DK2と買わせていただきました。その様子をブログにも書いていたようです。Oculus Riftと書いていますが、Riftは後日発売される商品名ですので僕が勘違いしていたのだと思います。
その後、一般向けの商品として発売されましたが開発にはグラボの性能が必要となり(Macが対象から外れてしまった)、うちのゼミ室ではMac主体だったため研究では使えないな。。。と静観していました。その間にHololens1、2と手に入れて研究に利用してきました。
その後、Oculus Goになって動作にPCが不要となり、Macでも開発が可能と聞き改めて購入し始めました。Oculus Quest1、2、3を入手して何か使えないか考えてきました。
そんな中途半端な立ち位置ですが。。。授業も終わり論文書きも一段落したので、改めて、Meta Quest3など触りながらVRの今後の可能性についてつらつら考えています。そのことをちょっとメモしておきたいと思います。
これまで卒業研究で使用することはあっても自分の開発や研究で利用することはしてきませんでした。
個人的に何か作りたい気持ちはもちろんあるのですが、改めて研究という枠で考えたときにVRを利用するほどの必然性あるテーマがなかなか思いつかない。。。そう感じていました。
そんな中、考えているテーマが1つありまして。
それは高齢者向けの仮想旅行です。別に珍しくも新しくもなんともないテーマですが。。。でも、個人的には必要性は十分にあると感じています。
実家を離れて札幌の施設で暮らす母がいます。ニュースで高齢者や施設の話題が出ると注目するようになりました。施設では安全を考えるとなかなか外出する機会がなかったり、当然ですが、自宅に戻ることも自由にはできません。入居施設にいながらにして自宅にいる感覚が得られたら嬉しい。。。と思うかと(逆に気分が滅入るのかもですが)。自宅に限らず、自由には外出できなくなった身体だからこそ、なかなかいけない場所に行ってみたいという気持ちは我々より高まるのではないかとも思いました。単なる想像に過ぎませんが。。。
VR空間に自宅や旅行先を表示するには3Dモデル等を仮想空間上に配置する必要があります。これをどうするかが一つの問題でした。3Dスキャナは高価ですし撮影も大変そうです。そこで最近よく使われるようになったのがフォトグラメトリですね。。。スマホでも手軽に撮影してコンテンツを作ることができます。町並みや施設や風景を切り取って保存するデジタルアーカイブ的な目的でも利用されていると聞きます。うちでも学生さんの研究でいくつか利用させてもらっています。
防犯や法律など問題がありそうですが、依頼を受けてからご自宅を訪問して撮影しコンテンツを作成し、その映像を見れる機器を貸し出す。。。営利目的ではありませんが、何か世の中のためになる活動になるんじゃないかなと思っています。誰もやらないなら自分でやるしかないな。。。という感じです。
で、そんな妄想を考えながら、改めてHMDを利用したVRの可能性について考えると、現実的にはなかなか難しいな。。。と感じるところもあります。
変化点となるHMDはなるべく実際に触って使ってきましたので軽く小さく性能が良くなっていることは実感しています。しかし。。。です。現在、HMDがスマホのように一般人に広く普及した状態とは決して言えないと思います。それはなぜか?
最大の理由は、HMDを被ることに対する抵抗感、なのだと思います。ARグラスのようにメガネをかけるような気軽さはまだありません。もし、究極的に小さく軽くなったとして、次に問題になるのが暗い中で近くを見続けることの眼球の肉体的負担と精神的な負担です。若ければたぶん実際に感じる負担は相対的に小さくなるのではないかと思いますが。。。それでも毎日被って何かをするか。。。というと難しいのではないかと思うのです。
そうしたハードルを超えてでも、現実的には体験できない何かを体験できるとすれば。。。HMDをつけてくれるのかもしれません。
昨日、改めて半日くらいQuest3をかぶって色々なアプリを使っていました。ゲームとかはナシです。学校や仕事から帰ってきてご飯を食べてお風呂に入ったあと就寝するまでの数時間、快適に過ごす何かを求めるような環境です。
最初に試したのはYouTubeVRです。動画視聴はできますが360度動画は少ないようで。。。これぞという体験はできませんでした。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/2002317119880945/
次。Prime Video VRです。感想はYouTubeVRと同じです。ただ、映画館のような座席から見れるのはなかなか楽しい。。。と最初は思いましたが、でも目に負担をかけてまで体験したいか。。。というと微妙でした。飛行機とか投影空間のない場所で見れるという自由度はあるのかもですが、それでもスマホやタブレットでも見れますし。。。特にHMDじゃななきゃダメだという体験ではありませんでした。とはいえまだ利用時間は数分なので、ちゃんと映画を1本くらい見てから感想を書くべきだな。。。と今思っているところです。でも、中年の私にはHMDの重みに耐えながら目が辛い状況で見続けるのは負担に感じているのが正直なところです。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/2274617532624269/
最後は、Meta Quest TVです。これらは色々なコンテンツを統合したアプリのようでした。ここから利用した3Dアニメーションは素晴らしかったです。Quill Theaterというアプリに誘導されるようですが、この辺、買収とかで統合されたという記事もあったような気がします。Quillの紹介ページは古いですがここにありました。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/1931356740318898/
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/2515021945210953/
あとは、VRチャットですかね。。。ちゃんと利用の仕方を学べばもっと楽しめるんでしょうけど、いくつか入ったルームではまともに会話する感じではありませんでしたし。。。難しさを感じました。
昔、少しだけ遊んだアンネ・フランクの生活を体験できるアプリとか、現実世界ではなかなか体験できないことをVRの映像空間で体験できるのは非常の刺激的で面白い体験だと思いました。今さらですが。。。Quillの3Dアニメーションもそうですが、自分の視点を3D空間のどこに置くかを考えて作り込まれているので、体験は非常に豊かなものと感じました。
HMDの肉体的・精神的な負担というハードルを超えてでも行きたくなるVR世界を提供できるとすれば。。。利用者が増える可能性があるんだろうな。。。と思うと同時に、そういうアプリに到達するまでの誘導路がほぼないことにも気付かされます。
スマホの場合はInstaやTik Tokで話題になったコンテンツを知り、その後、タップ一つでより詳しい情報にアクセスできるわけです。HMDの場合は、HMDをつけても違和感がない場所で、HMDを取り出してきて、充電がなければ充電をして起動し、さらにアプリを探して。。。その経路の長さ、そして、現状、そうしたアプリや映像作品にアクセスするまでの距離も問題と思います。
私もそうですが、自分で探せなければ他人に頼るしかありません。そうしたコンテンツをうまく推薦してくれればいいのにな。。。と思うのですが、なかなかできていません。もしかすると個人情報を提供するをオフにしているからかもですが。。。HMDを起動して最初に起動するアプリがHMDにはない。。。そこも問題のような気がします。
VRじゃないとできない(しにくい)体験ができる機会を提供すること。。。結論は結局、昔から言われていることでしたが。。。改めてそういうことなんだなと思った次第です。ちゃんとユーザとして使わないと見える世界が薄っぺら過ぎて。。。ダメですね。HMDがスマホ化するのではなく、スマホがHMD機能ももつ(Googleカードボードか)。。。のが理想なんでしょうね。