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要件定義カード1枚8万円──脱・人月商売宣言

[via @IT]

スターロジックさんが自社のカンファレンスで「二度と人月商売はしません」と公言された記事です。同社が開発・無償公開している「マジカ!」カードに書かれた要件1枚あたり8万円という明確な価格設定を打ち出したようです。
同社のチャレンジは業界に新風を吹き込むとても素晴らしい取り組みだと思いますが、少々疑問がわくのです。


カード1枚あたり8万円というのは自社の開発実績から統計的に求めたようです。ということは、これをもう少し補足すると、同社の標準的な人月単価のエンジニアが同社の開発環境でソフトウェアを構築すると、その開発コストは儲け分を差し引いて1カードあたり8万円だという算出をしたのだと思います。顧客から見た見積り単位は(円/カード)になって非常にわかりやすくなったと思いますが、実は、その根拠となる価格には人月がベースになっているのではないかと感じるのです。また、「複雑な画面や旧システムのデータ移行」などはカードあたりの積算は難しく別途見積りになると書かれています。ここで書かれている「複雑」「データ移行」などがオプション価格になる、ということについて素人を説得できるか、ということも疑問です。もし、顧客とそうした交渉ができる友好的な関係であれば実質的には単位が人月であっても大きな差はないのではないかと思うのです。

もう1点。

顧客自ら要件定義できるようにマジカカードを開発したことと、要件定義を顧客側に任せたこと、そしてそのカードを見積り単位としてシステム開発費を算出することが特徴だと思います。確かに最大の変動要因である要件定義をクリアすれば開発費用は定式化できると想像できます。ただ気になるのは非機能要件です。上記のデータ移行や画面製作上の複雑度などがマジカカードに表現できるかわかりませんが、表現できたとしても非機能要件の必要性とその対価が適正であるかを顧客が判断することは難しいでしょう。

一番気になるのは、この手法を使うことで見積り値が従来の見積り値の1/3から1/5程度になるという説明です。要件定義を外し自動生成環境があるから低価格が実現できると書かれていますが、要件同士の干渉がないのか、要件の複雑度が想定外になるかとがないのか、など他人事ながら心配になります。

もちろん、これが本当に実現できるなら、価格が半分以下ですから、まさに革命!といえるでしょう。今後のスターロジックさんに注目です!