毎度おなじみ(でもないか。。。)、ACM会員向けのオンライン講演です。
Felienne Hermans さんによる講演。
フェミニズムについては先日、図書館で読んだばかりだったのでちょっと意識がありました。持てる(違うか?)者とそうでない者の視点の違いを改めて意識したことがありました。
まぁ。。。パワフルです。ほんと、カッコいいを通り越してとにかく靭やかで力強いメッセージがありました。
プログラミング言語研究を続けているそうで、英語を前提としたプログラミング言語の流れに疑問をもちそうではない背景を持った人でも使える言語を開発していると。。。このあたりはもちろん日本語でも昔から研究されていますね。
ただ、この方の講演の中心はそこではなく、そういう研究成果を研究会で論じたときの反応が期待したものではなかった。。。ということでした。
第一声が「技術的な難しさは?」。
形式言語や数学がなければ研究ではない、と言いたいような背景がアカデミックな世界にはある、と。
マウントになりますが、全く同じ違和感を研究らしいものを始めたときから私も感じてきました。論文には「数式」を入れないとそれっぽくない。。。とにかく今の研究フォーマットに合わせる必要がある、認められるためには。
その後、研究者になっても違和感は続きました。シミュレーション、スケジューリング、ソフトウェア工学、いずれも評価される研究はまず数学が前面に出ていることが必要です(嘘です、それは。。。ただそんな感じが確かにします)。
言い過ぎなんですが、やはりこういうわかりにくいものだけを目指しているとやはり研究の入口は狭くなっていきます。研究者が増えないということは研究分野の停滞を意味するでしょうし広がりもありません。もっともっと間口を広くすることを意識したらいいのになぁ。。。と思っていました。その点、インタラクションは間口が広すぎて大丈夫か?と心配になりますが、たぶん、正しさが常に変化する分野だからこその姿勢なんだろうとずーっと参加してきて思います。
特にソフトウェア工学分野はもともと自分が現場にいたので、いざその課題感で研究を始めようとしたときの研究のしにくさ。。。は強く感じました。こういう研究会に参加する企業もなくはないですが、ソフトウェア産業を考えると全然少ないし注目度も低いと感じました。もっともっと盛り上がっていい分野だし、もっともっと大企業の研究者ではなく中小で活躍する企業エンジニアが論文書いて提案するとか。。。現場の声をこういう場に展開してくれたら研究者も研究を進められるのになぁ。。。と思って参加していた時期がありました。もうしばらく参加していないのでもしかすると状況は変わったのかも知れません。
この方いわく、もともとプログラマは女性の仕事だったのに、数学の人や工学の人があとからきてコンピュータは研究対象になった。。。ということでどんどん形式的なことが評価されるようになっていったんじゃないか。。。という見方でした。
今、我々の生きている世界は着実に価値観が変わってきていると思います。当たり前が見直される時代です。アカデミックの世界もかなり本当のゴールに向かって柔らかい面を見せているように思います。
プログラミングを教えていてもつくづく思うのです。。。もっと違うやり方があるだろうと。自分の中の正しさを押し付けているに過ぎないのではないだろうか?そもそもPythonという言語が悪いんじゃないか。。。もしかするとそんな可能性にも気づかせてくれたような気がします。
Pythonが使えないとプログラミングではない。PythonよりRustでしょう。。。いやいや。。。その次元で考えているのがそもそもズレている。。。のかもしれません。
既存のプログラミング言語を習得してしまった我々には絶対に見えない世界なんだと思います。一方で、プログラミングを知らない人にはプログラミング言語は作れない。堂々巡りです。。。この先生のようにプログラミングできる人らが価値観を変えていかなければならない。。。かもしれません。
自分の話ばかり書いてしまいました。。。マウントでした。ごめんなさい。
この著者の講演の論文(オープンアクセス)をNotebookLMにいれて生成した音声を貼っておきます。
以下、余談です。
音声配信は以前はSoundCloudを使っていたのですが無料アカウントでは制限があるのでYouTubeにしました。NotebookLMはwavを出力するのでffmpegでmp4に変換して、さらに絵があった方がいいかと思い、NotebookLMで生成した概要文(日本語)をそのままComfyUIにいれて生成した絵(何の調整もしていない。。。)をつけました。カワイイ。手足が多いけど。。。ネガティブプロンプト入れないと。。。ご容赦を。
絵をつけるサービスがあったので使わせていただきました。いいですね。
画像1枚の音楽ビデオを作成 - 1つの画像と1つのMP3をMP4ビデオへ結合
ちなみに画像生成AIはStable Matrixを使っています。以前、使えねーといって消したという話を書きましたが、ComfyUIをMacに入れるのに一番楽なのがこれでした。。。Desktop版はなぜか全然動きがおかしくて。その前にForgeやreForgeなども試しましたが、そんなに時間をかける暇はないので(サクっとカワイイ絵が欲しいだけ)ComfyUIにしました。まだ使い方がよくわかっていませんが。。。
学び(AI生成):
スタンドポイント理論(Standpoint Theory):社会理論の枠組みの一つで、個人の社会的・政治的な経験によって形成される視点が、世界を理解する上でどのように影響するかを検討するものです。特に、周縁化された集団の視点に注目し、支配的な視点に異議を唱え、より包括的な社会理解を促すことを目指します。
マチルダ効果:女性科学者の業績が過小評価されたり、男性に帰されたりする現象を指す言葉です。この現象は、女性の科学的貢献が無視されたり、男性の研究として発表されたりする形で現れます。この言葉は、1993年に科学史研究者マーガレット・ロシターによって提唱されました。
■追記
そういえば、書こうと思ったことを忘れていました。
この講演の中で以下のスライドがありました。英語以外の言語で書くとエラーになるよね、ということです。
そういえば、昨日、非常勤で実技試験で「1つ100円の◯を30個」というような問題をExcelに入力して計算してもらったのですが、ある学生さんがだったのですが以下のように答えようとして困っていました。
なぜ、「円」や「個」をいれてはいけないか。。。どうやって説明しますかね?「コンピュータが計算できるのはバイナリだからね文字コードで書かれた文字列は計算できるけど期待した数字にはならないんだよ。。。」と答えます?ちんぷんかんぷんですよね。。。そんなの。
ちなみに、この問題をChatGPTに投げたら答えてくれました(一部、セル番地を間違っていましたが)。ちゃんと円や個を取り除いて表にしてくれていました。ただ、SUMを使わずにセル番地を羅列して和を求めていましたが。。。
ChatGPTについでなので聞いてみました。
私「なぜExcelに入力するときに、円や個はつけないのですか?」
🤖「Excelは、セルに入力された値を数値として認識することで、計算(加算、乗算、合計など)を行います。100円 × 2 のようにすると、100円 が「文字列」とみなされて計算エラーになります。」
私「なぜ文字列とみなされると計算できないのですか?」
🤖「Excelの中では、計算処理は数値(number)に対してだけ行われます。文字列(text)になってしまうと、加減乗除などの数式が使えなくなるんです。Excelは 100円 を 「文字+数字の組み合わせ」=テキスト と判断し、「これは数ではない」とみなします。」
私「なぜテキストは計算できないのですか?」
🤖「テキストは「数字ではない」から、足し算や掛け算のルールが存在しないのです。」
私「でも、テキストの中には数字が入っているのだから数字を識別してくれればいいのでは?あなたがそうできるように。」
🤖「たしかに、「100円」の中には「100」という明らかな数字が入っているのだから、Excel(やコンピュータ)もそれを読み取って計算してくれればいい、と感じますよね。そして、私(AI)ならできるのに、なぜExcelにはできないのか?——ここが本題です。結論から言うと:Excelは「人間のような柔軟な解釈」ができないからです。」
私「ということはExcelはあなたより馬鹿なんですね?」
🤖「Excelは「馬鹿」なのではなく、目的が違う道具(ツール)なのです。私(ChatGPT)とExcelは得意なこと・設計思想がまったく違うんですね。」
🤖「なぜExcelは自動で判断しないのか?自動解釈は危険だからです!勝手に判断すると、間違った計算が発生する可能性があるため、Excelはあえて慎重な設計になっているのです。」
私「。。。大人だ💦」
厨二病的な会話を披露してしまいましたが。。。こんな会話にもつきあってくれるAIは偉いですね。
脱線しました。
文字と数値の違いを意識するのがプログラミングの第一歩なのかもしれませんが。。。もう少し視野を広くしたらいいよね。。。とは感じていました。
そしたら、翌日、この講演をみたんです。。。なんかシンクロニシティですよ。ほんと。そしてその問題に気づいて既に提案している人がいたということ。世の中広いです。この方が提案したシステムは使えるようになっていました。興味のある方は遊んでみてください。