本学科では、卒業論文の予稿集を冊子にしています(印刷会社に発注し企業に配布)。その締め切りが明日の15:30になっています。
提出が本格化したのはここ数日。やはり期限にならないと本格化しないのです。。。名誉のため書きますが、きちんとやってきた学生さんは、年明けにレジュメは提出済みで、現在はかなり精度の高い推敲を実施中です。
さぁ。。。明日、提出できるかな?
で、なんでレジュメ(ごときに!)にこんなに時間をかけるのか。。。他の研究室ではこんなチェックは受けていないかもしれません。「なぜうちの研究室だけ。。。」疑問に思う学生さんも少なくないかもしれません。少し理由を書いておきたいと思います。
1つ目は、レジュメは字数制限があるため、書き手として伝えたいことを有限のスペースにまとめる訓練になるということです。
ダラダラと書くことは誰でもできるのです。400字詰原稿を?枚と言われると、経験がない人は「埋めるのが大変」と感じるかもしれませんが、実は同じ内容を「100字で書け」と言われる方が難しいのです。そして、レジュメを作る過程で伝えるべき「幹」がしっかりまとまれば、プレゼンや卒業論文でぶれることはありません。
2つ目は、チェックのしやすさです。本研究室でも8名くらい(昨年は10名)いますので、全員の卒業論文を一字一句チェックすることは不可能です。A4版1枚であればてにをはにはじまり、主語・動詞の一致、時制、接続詞、論理構造、など隅々まで目が届きます。
私の個人的経験ですが、実は、文章の書き方の訓練を受ける機会というのは、社会に出るとありません。上司が書き方を指導することもあるかもしれませんが、”てにをは”のレベルからチェックするような時間はなかなか取れません。多くの社会人は自分で必要に迫られたときに、関連する本(論文の書き方など)を購入して自分で勉強しているというのが本当のところです。
私が、論文の書き方についてもっとも勉強させて頂いたのは博士課程のときです。幸運なことに2人の教授に毎週、論文をチェックして頂く機会がありました。感謝しても感謝しきれません。
その当時はフルタイムで(もちろんソフトウェア企業だったので残業は当たり前の)企業で働きながら土日や業務が終わった深夜に大学で研究している状況だったので、チェックされることが苦痛でたまらなかった時期もあります。企業でも大型プロジェクトのリーダーとして働いていた時期で、論文で細々としたことをチェックされて先生方の前で(今考えると大変失礼なことを)半泣きした覚えがあります。子供も生まれた時期で非常にきつかった覚えがあります。
でも、その論文が通らなければ卒業はありませんから真剣にならざるを得ません。
3つ目は、こうした真剣さが出る時期というのは、この時期しかないということです。辛いかもしれませんが、大学4年間で一番成長できる時期だと考えています。
きちんとしたデータはありませんが、卒業研究レベルで論文指導を入念(てにをはレベルから)にやっている多くはないのではないかと思います。指導する先生の考え方によりますが、論文を書くのは修士以降だからというのが本当のところだと思います。
研究者になるわけではない4年生にそうした指導をすることにどれほどの意味があるかわかりません。でも、企業に入れば昇進試験で必ず論文があります。社内論文を書く必要もあるかもしれません。技術者であれば技術論文は書けて損はありません。
今が辛い気持ちは良くわかります。恨んでもらって構いません。それが起爆剤になるならそれでもいいです。でも、片隅に、「今、自分が成長するために頑張っている」「自分への投資なんだ!」と思ってもらえば前向きになれると思います。
苦しみがないところに成長はありません。
追い込まれたときに逃げずに自分ができる最大限のことをなす。まさに人事を尽くして天命を待つ、です。
ソフトウェア技術(特にAPIやフレームワークの利用知識)は数年したら使い物にならなくなります。でも、文章を書く力は財産になります。
そして、(現時点での)極限のガンバリは、絶対、会社で役に立つと思います。
頑張れ!