ADHD+VRの研究の紹介だった。
以下の通り、ZOOMのWebinar画面をGoole Meetで共有することでリアルタイム字幕が出力できるセットアップで視聴した。ちなみにこの動画は珍しく日本時間の11時から開始だったのでリアルタイムでZOOMで視聴した(ただ眠かったので退出した)。ZOOMにはリアルタイム字幕の機能があるのでそれでも見れたけど。。。夜中に集中して聞くのはちょっと辛い。
ACM Tech Talkを録画してNotebookLMで要約してもらう - memorandums
やはり翌日、ZOOMの録画を見るのがいいなと。
Louisiana State UniversityのDavid Shepherdさんによる講演だった。
意外と本題に入る前のご自身の紹介が面白かった。会社では2つのシステム開発に携わったとか。
Flow LightとABB、ググるとキーボードが出てきてあれという感じだけど、Flow LightはPC作業状態を監視して忙しそうなら赤く光り、そうでなければ緑になるランプを作ったと。部屋の外とかにおいておけば話かけていいかがわかるという仕組みらしかった。ABBの方はスクラッチベースでアームロボットを制御するシステムらしかった。これもGooglabilityが低いワードらしく本体は見つからなかった。ただ、御本人の興味が人の意識レベルとそのITによるサポートにあるというのが何となく見えた。僕の同じようなところに関心がある。
で、本題は、以下のCHI2024の論文についての解説だった。オープンアクセスなので誰でも読めます。
Examining the Use of VR as a Study Aid for University Students with ADHD
NotebookLMに要約してもらうと以下でした。
この文書は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を持つ大学生向けの学習支援としての仮想現実(VR)の活用に焦点を当てた研究について述べています。VR環境が集中力、モチベーション、および努力レベルを著しく向上させる可能性を探り、参加者は外部からの気が散る要素や個人的な中断が減少したと報告しています。また、長期間の使用におけるVRの一貫した肯定的効果や、大学図書館での導入が実用的である可能性についても考察しています。ただし、VRヘッドセットに伴う身体的不快感や、自動フィードバック機構の有効性については、さらなる改良が必要であると結論付けています。
ADHDの方が有する特性がいくつかあるようですが、その特性のためオフィスでの仕事や学校での学習を困難にしているようです。周りに人がいて活動しているとその影響を受けて集中できなくなるという傾向です。これってADHDでなくてもありますよね。
そこでHMDを装着することで集中力を持続できるのか?パフォーマンスが改善されるのか?などを調査されたようです。
上記の論文に掲載されている図をこちらに掲載します。左端が非VR、残りはVRでの作業セッションです。縦軸は集中度のスコアを表しているらしく低いほど集中しているらしいです(プレゼンで本人がそう言っていた)。

確かに改善されていることがわかりますね。
私らもXRのアプリ開発を少しやっていますのと、ちょうど今年の卒業研究の学生が集中度を上げる方法を試験する環境をVRで作ったら?と取り組んでいる最中だったのでとても興味を持って拝見しました(ACM Tech Talkは毎度見ているのでタイトルで判断したわけではなかったのですが)。
HMDをつけることで外界をシャットアウトすることができることは誰でも想像ができると思います。あ、ちなみに実験では耳も塞いでいる(ノイキャンヘッドフォン)らしいです。
その状態で大学生に大学の課題を普通にやってもらったのだそうです。そりゃ。。。邪魔する物が見えなくなるので(スマホなど)集中せざるを得なくなることは当然だな。。。と思いますが、それをちゃんと実験して確かめたというのは素晴らしいなと思うわけです。
逆にいうと?発表者も仰っていましたが、VRの世界はまだまだキラーアプリがない(ゴリラタグを挙げていました😁)。だからもっとやることはあるよね、と。僕もその通りだと思います。未来があるかどうかはわかりませんが、まだ掘っていない場所がたくさんあるはずだ。。。とは思っています。
で、質問タイムもまじめに聞きました。面白かったです。字幕が出るので何とかわかるという程度ですが。海外の方ってどうしてあんなに質問力があるんでしょうね。質問する=参加している、という訓練や価値観が埋め込まれているんでしょうか?日本ではどうしても今でも奥ゆかしくなってしまうし質問することで他人の質問チャンスを奪うと気にして質問があっても質問しないケースもあるかと思いますし。授業でも以前は質問ある?と聞いていましたが、今は「質問があればあとできてね」というようにしています。ある?と聞いてないを繰り返すのが面倒なので。
ちなみに、これも「決めつけかなぁ?」授業アンケートで学生から先生は決めつけで話すことがあって煽っていると感じることがある、というようなコメントがありました。ちょっと気をつけないとと思っているところです。まぁ口は悪い方だと思いますが、嫌な思いをさせるのは本意ではないので、関係性を築けていない一般講義・演習では控えるようにしないと、という感じです。大学の先生といえば色々で毒舌もそれはそれで面白いなと思ったものですが、今は時代が違うようです。
脱線しました。
質疑応答のメモです(私が誤解している可能性はありますので参考程度で)
- 長時間(50分)とかHMDをつけるとストレスはないか? →確かにある。ただどういう影響があるは調べられていない
- 技術的なトレードオフは? →解像度、レイテンシーが不足することがある。今後HMDの進化で改善がされると思う。
- ADHDに特化した問題はなかったか? →最初のセッションではスコアはいいが、あとになるほど悪くなる傾向があった。
- 集中を維持するためにゲーミフィケーションを取り入れるとかは? →集中度の推定に赤緑表示するシステムを導入しているのでそれ以上の反応は今のところ予定はない。
- 集中度の指標は? →名前は忘れたが心理学的指標を使っている。
- GenAIの使い所は? →現状、キーやマウスで集中度を推定しているが、例えば、定期的にスクショを撮ってAIに解析させて推定させると精度が向上するのでは?
- 被験者がVR環境に慣れると問題になることはないか? →いつでも集中できることでどこにいても仕事することになる、それは問題かもしれない(←かなり英語の理解があやしいです)。
- 生体データは使わないの? →現在はキーとマウス、そしてアンケート。生体データで改善できると思う。採用したい。注視箇所とか。
- 本システムのリリース時期は? →今年の秋くらいかな?
以上でした。
上にも書きましたが意外とまだこういう分野は研究が進んでないことがわかってよかったです。我々の研究ももう少しちゃんとやれば発表できるレベルになるかな。。。と思ったりでした。
ラストのスライドがまた面白かったです。

この研究はまさにそうですが、RQは立ててはいますがまだまだ関わる因子が多いのでまさにこれからという研究かと思います。そういう対象でも探索的に研究することで新しいブレークスルーが生まれる可能性があるよね、と。時間がかかりますが、もし誰もやっていないとすればやるだけの価値があるということかと思いました。
あとADHDのことはよく知らなかったので専門家の先生を探してきてその方と一緒に研究をされているそうです。そういう研究は楽しいと仰っています。古い言葉ですが「シナジー効果」ってやつでしょうか。医療とITって非常にお互いが必要する分野の1つと思います。大学の中にこもっていてもジリ貧になりますからね。。。ぜひそういう研究仲間を探したいところです。1つの分野を掘り下げることなくとにかく興味のあるものに浅く広くが信条でやってきましたのでそういう可能性はあるとは思っています。あとは行動できるかどうかです。。。
最後に、ACM Tech Talkには必ずモデレータの方がいてその方が最初にお決まりの言葉を話してプレゼンターを紹介して始まります。そのときの決まり文句に「Take it away」があります。
あまり日本では馴染みがない言葉だな。。。と思うのですがどうでしょう?
Google翻訳では「それを奪ってください」です。笑います。。。「さあ、始めてください」「どうぞ」という言葉らしいです。司会者がよく使う言葉らしいです。
もし司会するチャンスがあったらぜひ使ってみたいと思います。