とある論文誌の編集の方から論文書かないかと招待メールがありました。なんとAPC無料でいいよ〜という話。
うまい話には裏がある。。。
ググったけどそれらしい情報は見つかりません。雑誌もまあまあ知られたところ。ちょっと分野がずれているけどとりあえずトライしてみる価値はあるかと、ちょうど書いてた論文をその論文誌のテンプレに合わせて調整してやっと書き終わりました。
最近、とにかくなんでもAIを使ってみよう週間にしているので、できることでもとにかくAIを使ってみようとやっています。AIを使用すると報告しなければならないのですが、それでもオリジナリティに関わるところは担保しているつもりです。
さて。
翻訳はもちろん、校正にも使いました。
慣れないころはDeepLで1行1行を入れては翻訳して一語一語自分の表現に直していましたが最近はあまりそこまでやりません。あまりにもネイティブ過ぎる文は嫌いなので(自分でも何言っているかわからなくなる)、流暢ではなくてもプレイン・イングリッシュにすることを指示しています。翻訳や校正はネットに先人たちが膨大な情報を公開してくれているのでそれを見ればよかです。
今日、本文(英文)がだいたいできたので、最後に参考文献のフォーマット調整をしました。
その論文誌のジャーナルと国際学会のテンプレートをAIに与えて、それに合わせてフォーマット調整してくれ、と指示しました。あ、変換に自信がない場合はそう言ってね、ともプロンプトに付け加えました。ハルシネーションを視覚的に知るためです。
うまくできたところとダメだったところをメモしました。
うまくできたところ
- ジャーナル名の短縮が適切にされていた。テンプレはジャーナル情報は短縮しろと書いていた。短縮するのって結構難しいと思う。機械的にやってくれるとほんと助かる。
- 変換前にDOIが入っていた文献情報は変換後も正しく出力された(正しいというかそのままというか)
- ページ数のハイフンも変換された(論文書く方はわかると思いますがハイフンは-と–の2種類あって範囲は–を使いがちと思います、業者校正出したら必ず直されます、それも自動変換されました)
- 変換前の論文タイトルの引用符が入っているものも(変換前はGoogle Scholarの引用情報からコピペしてもってきた)、適切に削除されて変換されました。
ダメだったところ
- 国際会議の会議名が斜体から標準に変換されなかった。
- ジャーナル情報が不足しているものがあった。DOIにアクセスしてジャーナル名(略称)とページ情報を追記した。
- ページ範囲がない文献があってそれは変換されなかった。自動補完はされない様子。いずれはされるようになるのかな?
- 国際会議情報がまったく変換されませんでした。
とはいえ、AIの使用結果は自己責任なので、全部1つずつ確認して変換が正しくされたかを確認しました。参考文献が35個あったのですが1時間くらいはかかったと思います。でも、たたき台を自動変換してくれたのでチェックだけで済んだのはかなり神経を減らす量?が抑えられたと思います。
原稿がいよいよできて、最後に論文誌の投稿ページで投稿作業をしていきます。国内の論文誌と比べると面倒な作業が多いのですが。。。それでもこれを通過しないと投稿できません。
作業の1つにカバーレーターが出てきます。査読者の方に査読をお願いするA4・1枚の文書です(だと思います、ジャーナル査読者はしたことがないので...わかりませんが)。
カバーレターもお決まりなんだと思います。以前、経験がありましたので、それを使おうとしたのですが。。。考えてみれば、この定型文こそChatGPTにやらせればいいやん。。。と思ったわけですね。
一応、プロンプトを書いておきますか?
XXXのジャーナルの1つであるYYYに投稿するためカバーレターを作成する必要があります。言語は英語です。作成をお願いします。
だけです。一瞬にしてテンプレを作ってくれました。
文章の中には[Your Manuscript Title] 、 [briefly summarize the main topic or contribution of your paper]、[relevant field or topic]、という空欄がありました。
あとは自分でやれよ、と思うかもしれませんが、そういう変換作業(要約)こそChatGPTの出番と思いました。論文の概要を貼り付けて以下のプロンプトを入れてみましたら。。。あっという間でした。しかも、空欄に埋め込んで答えを作ってくれました。
ありがとうございます。生成してくれた文章には空欄が3個所あります。以下に示す英文は投稿予定の論文の概要になります。この文章を参照して、3個所の空欄に当てはまる適切な文章をそれぞれ教えてください。
ちょっとは修正しましたが、9割くらいはできていました。一からこれを作るとなると。。。それだけでストレスです。。。要は頭を使います。
使い方は「慣れ」ですね。どこまでできるか?どう伝えればいい結果が出るか?それは使ってみないとわかりません。教科書や本もありますが、用途は人それぞれだと思います。
翻訳や校正も実はネット情報だけでは足りません。字数を制限するプロンプトをいれないと膨大に回答されたりします。また、「あなたはプロの英文校正者です」とか伝えてしまうと、英語ネイティブとしての自然さやフォーマルさを目指そうともします。それが邪魔なことも多いわけです。
どちらかというと決定的な間違い、例えば、数字を書くときのスペルアウトするかしないか判断とか、あと時制や冠詞とかですね。これは判断がとにかく難しい。。。
だからネイティブチェックがあるんでしょうけど。とりあえずのレベルにするにはそれらの知識が必要になります。結局、ネイティブにせよ英文校正のプロにせよ、大量の英文を読み込んでそのルールを発見して体得したのだと思います。そのルールを統計的に身につけているのはAIも同じです。嘘もいいますが、やはり自分よりは信頼できる場合も多いと思います。
もっとライトな場面では、本文以外の表やグラフのちょっとした項目を書こうとしたときに、日本語であればどう書けばいいかはわかるけど英語だとどう書くのが「普通」なのかがわからないケースも多いです。経験がない分野だとなおさらです。
そういうときにAIに確認するとたいてい正しく答えてくれます。これも本当に助かる例です。短時間にオンデマンドで答えが出るので安心して次に進められます。重要な原稿であれば、もちろんネイティブチェックをしますが、とりあえずの雑誌であればそのまま出してしまう判断もありかと思います。
ということで、「死ぬほど」は大げさだけど、気を使う必要もないし、いつでもそばにいてくれるし、AIがない作業はもうありえない、そう思っていいと思います。
脱線しますが、本日、就職が決まってない学生さんのサポートをしました。受ける企業さんの選定や決定などに関わらせてもらいました。とりあえず受ける企業に連絡してエントリーして次は履歴書です。履歴書には志望動機を書く必要がありますし、ガクチカも書く必要があります。
そんなときにもAIですよね。
自分がやってきたことを限られたスペースにいれるには、とにかく自分という情報を殴り書きしたデータベース文章を用意しておいて、その文章をこれまで企業の情報をHP等から持ってきてその情報や求める人物像に寄せてマッピングする作業はAIにやらせることができるでしょう。少なくともたたき台作成はやってくれるはずなのでサクっと作ってそれから自分で言いたいことと考えながら修正していけばいいはずです。昔は履歴書はすべて手書きでした。今はそんな文化はないようです(ほんの数年前まででしたけどね。。。コロナの影響かな?)。いい時代ですね。今の学生さんは。
楽ができる分、本質的なところに時間を使うと良いですね。質疑応答の練習とか想定質問への回答作成とか。
ということで脱線しましたが終了にします。明日から2日間、監督業務。。。とりあえず論文は投稿できたからヨシとしましょう。めでたしめでたし。