memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

でしたるついんず

以下のACM Tech Talkを視聴した。

https://on.acm.org/t/developing-vascular-digital-twins-to-shift-from-reactive-to-proactive-care/3164/1

バイオ医療の専門家らしい。そういえばうちの先生もこの系の方だった。心電図の判定にNNを使って研究されてた。今さらだがその研究を少しでも手伝わせてもらえばよかったなぁ〜と思う。学生の頃は夢見がちで現実的な問題とは別の世界で何かできないかと考えていた。今もそう。残念ながらしかたがない。昔の話。

話を戻そう。講演では2つ事例が紹介されていた。心筋梗塞と癌。それらを特定の人の人体モデルを構築し、ウェアラブルウォッチで取得したデータから予知しようという試みのようだった。これができたら確かに凄いことで病気の予兆を捉えることが可能になるだろう。その確度が高ければ消費者もお金を投じるかもしれない。ウォッチメーカーともタイアップするだろうからお金が循環していくことが素人でもわかる。もちろん正確なモデルを構築してシミュレーションするには多大な計算コストが必要らしい。まだまだこれからの研究分野らしかった。でも人生をかけるだけのテーマだなと思った。素晴らしい。

ちなみにこの講演のタイトルにもあるように主題はreactiveからproactiveへだった。何年か前にPM分野でこのワードを知ったのを思い出す。先行して問題に対処する行動規範のようなものと理解している。何か起こってから対処するのではなく起きる前に仕掛けておくのができるPMということ。医療も病気になったら対応するのがこれまでの仕事の仕方だったはずで、もちろん未病に対応する指導とか啓蒙とかはされているという理解だが、いかんせん人間というのは元来怠惰(いやこれは悪いことではなく生命維持のために余計なコストをかけて取り掛かる必要があるかを本能的に把握しているうえでの行動だと思う)だから、必要性がわからないことには特にケアしないのが普通の人。このデジタルツインズに技術によって普通の人もお金を投じるようになるだろう。大病も防げるので願ったり叶ったりである。

そういえばお隣の人気学部の学部長先生が学生向けにデジタルツインズで講演されていたのを思い出した。ここまで精度の高い話ではなかったのでこれって何に使うん?と思ってしまった。さすがPSの先駆者。よいしょではない。自分との差を言っているだけ。目の付け所で人生は変わる。年を取れば取るほどこの違いを感じる。人ができることにはそんな差はない。でも人が何かをしようとする対象やその密度はその人自身が決めることで。世の中の流れの先をいかに読んで行動したり 判断することはできるかが違いとなって現れる。

この講演の質疑応答で「デジタルツインズと従来のシミュレーションは何が違うのか?」があった。講演者が講演者なら視聴者も大したものである。本質的な質問だと思った。回答は「デジタルツインズもシミュレーションには変わらないが多くのデータの平均モデルではなく特定の実在する人間のデータを用いてモデリングしてシミュレーションするところが違うと考えている」とのことだった。確かに。理解した。

ただ、僕も仕事で最適化モデルとかシミュレーションモデルを作ったことがあるが、それらは特定の工場や装置を再現するものだった。そもそもは何か特定の問題を捉えて再現したいのが動機だから対象を特定してモデリングすることは普通な気がしたが。。。ただ対象が人間となると、確かに医学では多数のデータを集めた標準値を判断基準(検査値とか)にする文化があるのだろうから、そういう特定の人を対象にすること自体が珍しいのだろうと思った。

これまてはそんなことはコストに見合わないと対象にならなかった分野だったのだろうし、スマホなどのインフラの整備と、人々の健康志向の追い風もあって研究対象として浮上してきたのだろうと思う。うがった見方かもしれないが。時間があったら少し彼女論文を読んで何かできることがないか考えてみたい。

おしまい(企業対応のため朝早く出勤する混雑電車で視聴してメモしたエントリーでした💦)