論文を投稿するときに,和文でもアブストラクトやキーワードに英文を書く必要があります.海外に投稿する場合はもちろん全体になります.
最近,とある国内学会に投稿した論文の査読結果が不再録で返ってきまして,そのコメントの1つに「アブストラクトについてネイティブチェックを受けることをお薦めします」がありました.
正直,見た瞬間「えっ?」と思いました.
査読付きの投稿の場合には,アブストラクトだけでもネイティブチェックを受けてから投稿するようにしてきました.
校正業者はどこを使ってきたか...営業妨害になるとあれですが,ネットでググるとトップに出てくる業者です.安い早いがウリの業者です.
とりあえず,不再録だった原稿を見直しまして,再投稿の準備をしていました.英文アブストラクトも全体を書き直して,ネイティブチェックを受けることにしました.
業者をどこにするか?で迷いました.
とりあえず,これまでお願いしてきた業者に依頼してみました.国内の査読者に上記のようなコメントをいただいたくらいなのでちゃんとしてくれよ(←もっと丁寧に書きましたが),というコメントを添えました(←たぶん読んでいませんし,校正は別の人がアサインされているようなのでそこまで伝わっていない様子でした).
ちなみに,校正をお願いしたのは英文タイトルと英文アブストラクトで180単語でした.
修正箇所は15箇所でした.修正内容は,熟語を単一の動詞への置き換えや語順を変えて短い表現にする,などでした.なるほど!というような指摘は正直ありませんでした.ちなみに費用は900円くらいです.
そこで,業者を変えてみることにしました.ネットで探してもここなら安心というところは見つかりませんでした.なぜでしょう...ここで満足しました!という情報はまず見つかりませんでした.
ちなみに,この業者の標準プランを利用していたのですが,上位のプランにしても校正の品質は変わらないそうで,ダメだったときのやりとりが無料になるだけのようです.一発でアウトのケースもあるので,一発目に力を入れてくれる業者が必要です.
そこで,よく国際誌に投稿している先生に聞いてみたんです.国内の某研究所で利用している業者さんの情報を教えていただきました.こちらは200語で2500円くらいです.
早速,メールを送り依頼しまして,ほどなく校正結果が返ってきました.昨晩のことです.
こちらの修正箇所は23箇所でした.わずか180語の文章ですが,不思議なことに,同じ箇所に対する指摘は1つもありませんでした.ネイティブチェックとはそういうものだと思いました.
修正内容は単語の言い換えではなく,句と句をつなぐ言葉の補充が中心のように見えました.単語の置き換えのような機械的な修正はありませんでした.これが良いのか悪いのかがわかるくらいならネイティブチェックは必要ないわけで...ここがネイティブチェックの難しいところです.
で,この業者のコメントで納得したのは以下です.
I’m not certain what you mean by “****” in this context. Will your target readers understand?
英文を送ってくる分野は本当に様々と思います.それぞれの専門分野での言い方は当然あるわけで.校正業者もすべての分野に精通するのはまず不可能と考えます.
となると,校正しているときに,要は文章を頭から読んでいったときに「これは?どういう意味?」と思うことは多々あると思います.そんなときにそれを指摘せずに流したのでは校正の意味は半減してしまうでしょう.
そのコメントを読んで,なるほど,これは日本語ではよく使う表現だけど,英文にしたときに意味が通らないんだな,と理解できるわけです.
サンクコスト効果もあるかもしれませんが...
とりあえず,今後,この業者さんにお願いしようと思います.
こういう情報って当たり前なのかわかりませんが,あまりありませんので,とりあえず,メモまでおいておきます.