memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

教育費無償化のもっと前にやることあることに気付かされた

昨日から入試監督業務のため岡山にきています。推薦入試は2コマしかないので早めにホテルに戻りました。

たまたまツイッターを眺めていたら以下のツイートがありリンクの動画をみました。

vimeo.com

Scratchで有名なMitchel Resnick先生のご講演の動画です。

この1000年で最も重要な発明は何か?考えた場合に先生は「幼稚園」だと仰っています。

「は?」

正直、そう思いました。

Scratchの利用者の多くは子供だし、幼稚園も含まれるから、まぁ、リップサービスだろうかと、心の汚れた私はそう思ったわけです(苦笑)

しかし、先生曰く、幼稚園での教育は、創造性を育む最高の場所(←かなり意訳)ということでした。

その後、小中高校では知識を教えることに終始し、子供は机にじーっと座ってそれをとにかく覚えて(唯一の)正解が答えられるように訓練される。。。それが小中高校だと。

最近、アクティブラーニングが話題になっていますね。こうした一方的な教えの反省だと言えると思います。

しかし。。。それは何も新しいことではなく、既に、子供達は幼稚園で経験しているという「発見」です。

余談ですが、うちには3人子供がいます。たまの参観日で幼稚園にいくと子供達は本当に楽しそうに、そして難しいそうなことも一生懸命に取り組む様子が伺えます。小学校でも低学年のうちは、積極的に発言したり手をあげたり先生と関わろうとする様子が伺えます。しかし、小学校高学年くらいになると積極性は影を潜めていきます。もちろん中高でもクラスの雰囲気によってはとても楽しそうなクラスも見るので一概には言えませんが。。。いずれも個人的に我が子を観てきた世界での情報です。一般性は保証できません。

話を戻します。

幼稚園では、知識を覚えるというよりは創造的な活動が多くあります。絵を書いたりブロックで何かを作ったり。子供だから、それくらいしかできないから。。。と親ながらに思っていましたが、実はそこには創造性を育む環境があったというのが先生の指摘になります。確かにそうだと。

幼稚園で子供達が何かを作るとしましょう。作り方を学び、それぞれが何かを作り、実験したり作品を比較したり、意見があれば取り入れたり、ということがごく自然に行われると先生は言います。創造活動そのものです。

ああ。。。確かにそうだよなぁ。。。

ご講演の中でscratchオンラインでipzyというハンドルネームをもつ子の作品の進展について紹介があります。

この子は最初、絵を描くのが好きだけどプログラミングなどは知らなかったそうです。

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Scratchを知り、自分が描いた絵の一部を動かし始めたらしいです。

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より複雑なものを作ったり。

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シェアされた作品はたくさんのコメントがついたりForkされたりしたそうです。コメントを見て「動きを早くした」というipzyさんからのコメントは会場からの笑いを誘い。このあたりから自分が好きで作品を作るという考えからデザイナーとしての活動を意識しはじめたとか。

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以下のツールでは様々な組み合わせを試すツールを公開したり。

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背景をスクロールするのはそれなりに大変だけど(教えて欲しいというコメントが多かったのでしょうか?)、そのためのチュートリアル作品を作りシェアされたそうです。

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なんか、ここまでくると本当にツール開発者というか研究者冥利につきますね。。。

Scratchは子供達がテキストベースのプログラミング言語より、もっと直接的に創造的な活動をするための補助ツールと私はとらえてきましたが、もっと先の、子供達の創造性を増幅するための装置、と先生が考えていることがこの動画ではっきりわかりました。

その意味では、ipzyさんの利用例はまさに願ったり叶ったりという感じなのではないかと思います。

元企業人として、また、工学系の教員として10年近く働いてきていつも思うのは、自分ができていてもしかたがなく、学生達をいかにできるようにするか?いや、もっと根源的には、知識やスキルの押し売りなど下品なことはせずに、学生自らが知りたい、作りたいと思ってヘルプを求めてきてくれる、そんな導入をどうしたらできるか。。。ということです。

そういうコンテキストというか背景というか導入というかきっかけというか。

それを作ることさえできたらな。。。ということです。

私はもと企業人ということもあり、学生を生徒や学生ではなく、若手社員としてみています。なので意識のギャップ(私の勘違い)を感じることも多々あるのですが、それでも間違った方向ではないと思うのです(間違っているかなぁ。。。わかりません)。入学した経緯や動機は様々でしょうけど、教育機関の責務として果たすべきは学士を与えること以上に、スキルはもちろん、スキルを生かすマインドもセットで身につけてもらえたら。。。と願っています。

長くなりましが、最後に。

アクティブラーニングが流行っていますが「答えは幼稚園にある」のではないでしょうか?

本研究室の3年生向けのゼミで、今年、ウェアラブルバイスを開発するというテーマで1年間かけて活動している授業があります。週1コマですからできることは限られますが。。。学生たちは非常に楽しそうにやっています。情報が専門なので、機械工学などの専門家からみればまさに幼稚園的な活動に思えるでしょうけど、センサーや機械をどう取り付けるか?などあれこれ無い知恵を絞って考えています。僕ももちろん一緒に混ざって考えたり、ちょっと試したサンプルを共有したりしています。それぞれのチームが開発した作品を見てみたいからです。これってアクティブラーニングっていうのかな?とも思いますが、楽しいのでそんなことはどうでもいいです。

あ、そうそうタイトルに触れてなかったですね。

教育費を無償化したり減免したりする制度が話題(釣り)?になっていますが、子をもつ親としては大変ありがたいことではありますが、それよりも、もっとやるべきことがあると思います。

小中高が生徒を椅子に縛り付けて授業しなければならない要因の1つとしてクラスサイズがあると思うんです。小中高で授業を担当した経験はもちろんありませんが。。。

幼稚園は1クラスせいぜい10人か20人でしょう。

ちなみに、私のクラスの例では8名です。同じような授業で20名近い拡大ゼミのような授業もあるのですが、10人を越えると50、60人と同じようにしか扱えません。経営工学の管理限界というやつでしょう。一人が真面目に管理できるとすれば7人が限界というやつです。

つまり、これから少子化でさらに子供が減るでしょうし、小中高の先生は職を失うんじゃないか(もちろん大学も)という話もありますが、発想を逆にして、少ないからこそ一人一人を大事に育てる方向に転換できたらと思うんですね。

財源どーすんだとかあるんでしょうけど、国レベルが判断し実行しなければ小中高では根本的な改善は無理でしょう。というか小中高が肝と思います。

様々な分野で、もっともっと活躍する人材が出てきておかしくないと思います。

ぜひ、一人一人の子供に目が届く教育改革を。