memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

プレゼンのお手本

来週、9月11日(金)は卒業研究の中間発表会です。就職活動が忙しく、前期はほとんど活動していなかった学生さんもいます。さて、どうまとめるか?またまたTEDですが、短くて参考になるプレゼンのお手本がありました。英語ですがスピーカーがとてもゆっくり話しますので内容はだいたいわかると思います。Link先の動画を見る前に以下についてちょっと考えてみてください

Link: Josh Silver demos adjustable liquid-filled eyeglasses


話している内容はどうでもいいのです。要は伝えたいことがあってそれをどういう順番でプレゼンすればいいか?自分のテーマに当てはめたときにどう考えるべきか?を考えてみるのです。多少、誘導的ですがおつきあいください。


スピーカーであるJosh Silverさんは自分で調節可能なメガネを開発して世界のユーザに提供しています。その商品について4分くらいの時間で話せと言われたときに、どう話せばいいでしょう?Josh Silver になりきって考えましょう。


使い方を説明しましょうか?素材を説明しましょうか?原価について話ましょうか?ユーザの声について話しましょうか?とにかく会場でいろいろな人にかけてもらって感想を聞きましょうか?


スピーカーそれぞれのスタイルがあるでしょうから、プレゼンの組み立て方もいろいろです。答えは一つではありません。スティーブジョブスのマネをしたところで彼にはなれないのと同じでしょう。


まず、何を伝えたいのかを考えます。


この場合、Josh Silverさんは、自分の開発した眼鏡(提案手法)を説明したいはずですし、それをプレゼンして欲しくてTEDの方が彼に講演を依頼したものと思います。


普通の眼鏡じゃないわけですから、その使い方を説明すること、どんな効果があるのかを聴衆に体感してもらうこと、を一番伝えたいはずです。講演のタイトルにdemoとついていますから、彼がそのことを強く意識したことがわかります。


眼鏡の使い方とその効果を説明すればいいでしょうか?いいならそれでプレゼンは終了です。もちろん、それなりの品格をもった見せ方は必要ですが。


デモを見て、聴衆が必要性を感じたら、「いくら?」と聞くでしょう。聞いて予算内なら購入!です。何かに似ていませんか?そう、TVショッピングです。わざとらしい演出ですが見事にこのコンテキストで説明が進められます。普通の商品の営業ならこれでいいですね。


せっかくTEDでの講演だし。。。かっこいいジョークも入れてもう少し工夫したい。。。「なぜ、その商品を開発したのか?」聞きたい聴衆がいるかもしれません。じゃ、その期待に答えましょう。その商品を開発する必要性・ニーズについて説明します。もちろん、そのニーズは開発者の勝手な思い込みではなく裏付けとなるデータをあわせて示します。客観的に示す、これ重要です。これが背景になります。現状における課題でもあります。その課題を解決する方法は1つではないはずです。選択肢をいろいろ挙げてもいいですし、対抗馬について話をしてもいいでしょう。でも今回は時間が4分くらいしかありません。時間がなければズバッと自分の案について話しましょう。その課題に対する一つの挑戦としてこの案があります!と。それが方法になります。方法を述べたら、次に効果を聞きたくなりますよね?そもそも新しい物をみると人は懐疑的になるはずです。「そんなん使えるの!?」と。そこは正々堂々をデータで勝負です。もちろん商品があるならデモって見てもらうのが一番です。


長くなりましたが、まとめると最短でも以下のことをプレゼンしましょう、ということです。正式にはプレゼンも論文の形式であるIMRADに沿うといいのかもしれません。

・背景(課題)
・方法(提案手法)
・結果


それでは、Josh Silverさんのプレゼンを見てみてください。上手に聴衆の気持ちを誘導しています。以下、プレゼンのポイントをまとめてみました。

(1)聴衆に「視力の悪い人、手を挙げてください」といいます。目が悪い人は結構いるだろうという曖昧ながらも既知の情報を改めて実感させていると思います。

(2)WHOのestimateによると視力矯正をする事で生活を変えられる人が10億人いるというデータを示します。眼鏡によって視力矯正したくてもできない人が潜在的に多数いるということを示しています。

(3)視力矯正できない問題は、健康上の問題だけではなく、教育や経済や生活の質にも影響すると添えます。

(4)眼鏡が使えない人がこれほどにいる原因は何か?眼鏡は高価ではない、世の中にたくさんある、検眼士(日本では眼鏡屋さんと言った方がわかりやすいかも?)もたくさんいます。なぜ?聴衆に問いかけます?英国では検眼士1人の顧客は1万人。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカでは検眼士1人の顧客は100万人。人アイコンをうまく使って数を視覚的に見せてくれます。つまり検眼士の数が足りないから眼鏡が持てないと結論づけます。ここまでが現状の課題の説明です。

(5)さあ、どうしましょう?solutionは?Josh Silverさんの提案は”DIY” 自分の目で見て、見え具合を感じます(prescriptoin:処方箋とよんでいました)、そしてその結果から見えるように自分で眼鏡を調整する、という解決方法です。それを可能にする眼鏡「Adspecs」を開発した、ということです。

(6)どんな風に使うかデモしてみましょう。。。簡単に調整できることが見て感じ取れます。ここまでが方法の説明。

(7)あとはまとめです。結構前(1985年〜)からやっているんだけどなかなか普及しない。。。それでもたくさんの発展途上国の人に使ってもらっている。目標としては2020年までに(前述の)10億人の人に眼鏡を提供したい。それにはコストダウンのための研究が必要だ。興味があれば○○のWebサイトを訪問してね。最後は(今のところの)結果とFuture Workを示してしめます。



さて、卒業研究もこんな具合に発表できたらいいんですけどね?いかがなもんでしょうか?