memorandums

日々の生活で問題解決したこと、知ってよかったことなどを自分が思い出すために記録しています。

高校生のための論理思考トレーニング

またまた読書ネタ。リンクはここです(Link)

購入した動機は掲載されている論理思考トレーニング法がプログラミング教育に役立つのではと思ったことです。
本書は、論理思考のための準備が前半となり、論理思考トレーニングそのものは後半に書かれています。前半を読み終えたところですが、非常に明快に書かれています。まさか、現代文や日本的な慣習(はら芸や敬語)が論理的思考を阻害しているとは思いませんでした。またまた勉強不足です。最も勉強になったのは、我々が使っている言葉の多くが明治維新の時期に英文を解釈(翻訳)するために漢語を当てはめて作られた造語だということです。以下、気になった点を自分用にメモしておきます。

受験生のみならず大学生、社会人にもお奨めできる良書だと思います。英語の和訳などに苦しんだ(違和感をもった)人には超お奨めです。

  • 日本語の「が」を主格と表示する学校文法が、日本語をわからなくしている(「日本語の論理」大修館書店)
  • 「政治」「経済」「宗教」「抽象」「概念」「観念」「主語」という言葉は明治時代に西洋学問を翻訳するために漢文の漢語をあてはめて作り出した言葉。明治以前には存在しなかった。
  • abstractに関する非常に明快な説明(一部抜粋させて頂きます⇒自分用メモ)

abstractionは、ロジックの出発点とも言える最重要後である。ここから「演繹」、「帰納」、「一般」、「具体」、「対象」、「客体」、「体系」など、すべての評論用語が生まれているといっても過言ではない。そもそもの出発点においてつまずいているのだから、受験生が評論用語を難しいと感じ、敬遠するのも当然である。
西洋由来の学問の根本には、研究しようとするものから距離をとり、醒めた目でじっと見つめて、誰がいつ見ても常に真実であるものを知ろうとする態度がある。こうした態度を、評論用語では「対象化」や「客体化」、あるいは「相対化」と呼ぶ。
たとえば、A(男性)、B(男性)、C(女性)の3人の受験生がいるとしよう。個々バラバラに見える3人だが、彼らには「受験生」という「共通要素」がある。その共通要素を抜き出せば、「受験生は大変だ、自由もなく気の毒だ」という一般法則を導くことができる。つまり、複数の研究対象を比較して、それらに共通する象(部分)を抜き出す(=抽出する)ことが、「抽象」である。
バラバラに見える事象から共通点を取り出して、法則化し、普遍化し、体系化していく。こうした「具体→一般」ないし「特殊→普遍」の頭の使い方を、「帰納法」と呼ぶ。誰でも何らかの法則をもっているはずだ。「この時間帯はこむので避けたほうがいい」等。
帰納法とは逆に、ある法則を個々の事象(具体・特殊)にあてはめるのが「演繹法」である。科学の実験や数学の計算は、演繹を使って行うものだ。「一般→具体」ないしは「普遍→特殊」の頭の使い方である。
さて、3人の受験生から、「受験生は大変だ、自由も無く気の毒だ」という一般的法則を抽象する。抽象化された残り、共通しない象を無視する(=切り捨てる)ことを、「捨象」と言う。
英語のネイティブがabstractionを言うときには、「抽象」と「捨象」の2つの意味を同時にイメージしている。

  • JTのコピー「たばこを持つ手は、子供の顔の高さだった。」を学校文法で英訳すると過去形を使わざるを得ない。JTはこの英訳を「A lit cigarette is carried at the height of a child's face.」としている。

コピーとはそういうものかもしれないですが、著者は日本語の方はあまりにもハラ芸であり直接的な言葉を避けている表現であり、英訳の方は日本の文化をあまりにも無視した表現だと書いています。

  • ロジックの基本
    • クレーム(論証責任)、データ(事実)、ワラント(データを挙げる根拠)
  • クレーム、データ、ワラントの集まりがパラグラフになる→意味段落。
    • 日本語では形式段落になることが多い。
  • 意見はクレームであり、クレームを成立させるには、データとワラントが必要。
    • クレーム:彼は東大に合格するだろう。
    • データ:彼の偏差値は80を超えている。
    • ワラント:東大の偏差値は75である。
  • Negative Construction(建設的批判)
  • 批判の仕方(3つ)
    • 反駁(はんばく):相手のデータかワラントの虚偽・矛盾を突く(リバタル)
    • 質疑:相手のデータかワラントに論証責任を求める
    • 反論(カウンターアーギュメント):相手の三角ロジックを認めた上で「そうは思わない」と新たな三角ロジックを立てる
  • 三角ロジックの基本パターン(3つ)
    • 演繹型(正三角形) クレーム→データ
    • 帰納型(逆三角形) データ→クレーム
    • 反論型(菱型) 対立命題→クレーム→データ
  • レトリック
    • エピソード:体験談や第三者のエピソードを物語風に述べる。
    • 列挙:複数のデータを列挙する。
    • 定義・分類:便利とは早いこと、という風に、自分なりの定義を与える。
    • 因果関係:因果関係を説明する。
    • 引用:議論のテーマの第一人者の見解を引用して、自分の考え(クレーム)を強化する。
    • 時系列:過去から現在までの経緯や歴史をあげる。
    • 対比・対照:対照的なデータを挙げて比較する。
    • 比喩